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悪魔の住む蔵をもつワイナリー - Santiago, Chile

朝食は、太陽の光を浴びながら、宿でトーストしたマフィンにサラミとチーズをはさんでほおばる。苺やベリーのヨーグルトを食べて、フルーツには梨や林檎、バナナにオレンジ。ドリンクはミルクを入れたコーヒーをいただく。

宿を出ると昨晩とはうって変わって、宿の下のアルマス広場に面した通りにはホットドッグやハンバーガーなどのファストフード店が営業を始めており、レストランや食堂、店も元気に活動をしている。

広場からほど近い中央市場に行く。ここではウニやサーモン、アナゴにマグロ、コルビナというスズキの一種などが店頭に並び、その魚の匂いも、日本の魚市場とひどく似ている。時折「うに、うに」と日本語で声をかけられながら、「日本人か韓国人か中国人か」「東京っていうのは島なのか」と問いかけられながら、促されるままにレストランChristiancitoに入り、「うに」をいただくことにする。

大皿のウニに、刻んだコリアンダーやたまねぎのSalsa Verdeがのっている。さらにトマトなどを加えたぺブレに大きなレモン、そしてパンが添えられている。ウニをスプーンですくって口にすると、そのウニの味はわずかささやかで、口の中でその風味を探しにいくことになる。

やや水っぽいウニに、添えられたサルサをかけてみると、ちょうど良いあんばいになるものの、もはやウニの味はほとんど絶え、食感だけがややウニらしい、といったぐあいになる。

今日は午後にカッシェロ・デル・ディアブロ・シャルドネなどを提供している南米最大級のワイナリー、Bodega Concha y Toroを訪ねるため、サンティアゴから地下鉄とバスに乗っていく。

中央市場から最寄りの地下鉄、プラザ・デ・アルマス駅に行くと、何やら人だかりができていて、カメラマン風の男性が一人、ボディーガードらしき男性が一人いる。手入れの行きとどいた白い髪、適度に肉のついた身体が、ぴしりと着こなした紺のスーツと薄いブルーのネクタイによく似合っている。聞くと、チリの現大統領である、Sebastian Pinera氏だという。

柔らかい笑みをたたえたまま、求められるままに握手を交わし、一人ひとりに声をかけていく。しばらくして、トヨタ車レクサスに乗り込んで去っていく。

地下鉄に乗って、まずは南東のBellavista de la Florida駅まで行く。徐々に郊外に向かい、家々の向こうに茶色の山が見えてくるものの、四方を山に囲まれたこの街を悩ませる空気汚染によって、それらは霞んで見える。

そこからメトロバスに乗り換えて、ワイナリーへと向かう。  

モスグリーンやオレンジ色といったかわいらしい木の窓枠の家々が並ぶようすはさながら米国の郊外だ。それにぽつりぽつりと中華料理屋がある。プラスチックでできた花を売る男性がバスの中につかつかと入ってきて演説を始める。

林檎をかじりながら、1時間ほど走ったところでワイナリーの門の前へと到着する。

落ち着いた風格の大きな門に、Concha y Toroとまた大そうに書かれている。頭にサングラスをのせ、真っ赤な口紅を塗った綺麗な女性が受付をする。1時間ほど見て回れるツアーに参加することにする。

明るい庭を進むと、Vina Concha y Toroと書かれた門にたどり着き、そこをくぐり、まずはワイナリーに関する紹介がある。そして現在は事務所として利用されている家を回る。綿毛がふわふわと飛んでいる。

Concha y Toro社は1883年創業、ラテン・アメリカ最大のワイナリーで、現在はアルゼンチンと米国にも進出し、合計5千名が働いている。

Chardonnay、Pinot Noir、Merlot、このワイナリーで有名なCabernet Sauvignon、そしてCarmenereなどの葡萄畑を見て回り、時折葡萄の房をつまんで口にする。ここでは26種類の葡萄を栽培しているのだという。

それから白ワインであるシャルドネ100%であるカッシェロ・デル・ディアブロ・シャルドネ2011のテイスティングをする。

ガイドの女性は、まずは色を見て、それからグラスを傾けて、嗅ぐ。それからテーブルの上に置いてぐるりぐるりと回す。そして再度香りを嗅ぎ、パイナップルの香りがしませんか、と問いかける。

グラスにワインの流れた跡が残る。アルコールが高いほどゆっくりと流れるのだという。これをワインの涙といい、ロマンチックでしょう、と笑った。

そこから、樽の積まれたひんやりとしたワインセラーへと入る。ここではフランスと米国の樽が使われおり、3回、6年間しか使用しないのだという。

更に地下には1850年以前に建てられた「悪魔の蔵」がある。蔵は、卵白と砂とライムと石でできたカリカントで作られ、過去の大地震にも耐えてきた。かつて美味しさのあまりにワインを飲んでしまうスタッフがいたので蔵に悪魔が住んでいるという噂を流したのだそう。当時スタッフたちはその噂を信じたという。

その後、今度はMerlot70%、Cabernet Sauvignon15%、Carmenere15%、樽で11か月寝かせたtrioワインのテイスティングをする。という。

先ほどと同じような一連の儀式を済ませ、今度はチョコレートの香りがしませんか、と問いかける。

最後にMarques Casa ConchaやLate Harvestといったワインの売られているショップに立ち寄る。

その後、再びカメラケースを探しに街へと戻る。カメラのアクセサリー類は最近電気屋よりもショッピングモールで売られていることも多いというので、電気屋やモールを見て回る。モールには大型の電気屋やソニーショップもある。でもカメラケースというのはやはりほとんど見つからず、Ripleyのショップでカメラバッグを購入をする。

そうこうしているうちに次の街、プエルト・モン行きのバスの時間がせまってきた。Universidad de Chile駅からメトロに乗り、Universidad de Santiago駅にあるターミナルへと急いで向かう。

発車時刻の10分前に到着したものの、窓口の男性はもうチケットは売れない、と言う。どうしても乗りたいなら、隣のターミナルに行きなさいと言われ、前のめりになりながら、隣のターミナルへと移動する。

はたはたと急いで歩いていると、別のバス会社のプエルト・モン行きもあることが分かり、そちらに乗ることにする。

おかげで5分ほどの余裕ができたので、売店でコンボセット1を買い求める。パイナップルのジュースに、チーズとハムのはさまったハンバーガー、それにチョコのウエハースがついている。

しばらくすると、プラスチックの皿に乗った夕食が配られた。ややぱさついたチーズとハムのサンドイッチに、バニラのウエハースにチョコパイ、チョコクッキー、それにネスカフェインスタントコーヒーの粉。先日乗ったPullman社には食事のサービスがなかったので、てっきり食事はつかないものかと思っていた。

こうして無事にサンティアゴの街を抜け出した。