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白い街 – Sucre, Bolivia

バスは順調に8時ころ、標高2790m、雨が降るスクレのターミナルに到着する。次の目的地ウユニまでの直行バスは、1日1便Trans 6 de Octubre社のみ運行しているというので、そこでチケットを購入する。

ウユニまでの経由地である標高4070mのポトシまでのバスは多数出ており、すぐにポトシへ向かい、そこで乗り換えてウユニへ行くこともできるが、一度サンタ・クルスの低地にくだってきた身としては、世界で最も高い位置にあるというポトシの町で動き回れる自信が、ない。だから、スクレで一泊することにする。

無事にウユニまでのチケットを購入したので、町の中心までミニバスに乗っていく。ターミナルのインフォメーションセンターには、ふんわりとパーマをかけた、かわいらしい女性が座っている。

ターミナルから中心地まで、どのミニバスに乗ればよいのか尋ねると、「あ」と言う。「あ、ですか」とぽかんとしていると、「『A』ですよ。」と言って、うふふと嬉しそうに笑った。スペイン語では「A」を「ア」と発音するのである。

道には「医療法人 道仁会 品川医院」や「やわたメディカルセンター」、「富士屋ホテル」のミニバス、「新潟計装株式会社」のタクシーなどが走っている。

サン・フランシスコ教会の前で降り、弁護士事務所の多い道を通りながら、Colon通りのAmigo Hostelに部屋をとり、街を歩くことにする。

世界遺産に登録されている、ボリビアの憲法上の首都スクレでは、家の壁を白く塗ることが条例で決められているのだという。

1795年に建てられ、修道院としても機能するサン・フェリペ教会を通り、Macという名のファストフード店のわきを歩いて、1580年から1633年にかけて建てられたカテドラルや県庁などに囲まれた5月25日広場へと出る。

広場には、自由の家も面している。広い中庭を通ると、螺旋階段のある図書室や1825年にスペインからの独立宣言文の調印が行われた独立の間がある。1900年代に政府の中枢機関がラ・パスに移されるまで、スクレはボリビアの政治の中心であったのだ。

近くの道に、有名な「Para ti」という名のチョコレート屋があるので、立ち寄る。洒落た店内は賑わっていて、ショーウィンドウに飾られたチョコレートの中で、アーモンドのチョコレートと、ココナッツの入ったミルクチョコレートを買い求める。

デザインされた透明のパッケージに入れられた、上品なアーモンドチョコレートや、甘さたっぷりのミルクチョコレートは、口の中でとろけていく。

そこから、サン・ミゲル教会、サンタ・モニカ教会を通って中央市場まで歩き、食事をとりにいく。大きなカボチャなどの野菜や果物、肉やスパイス、かごや花束などが売られている。

ケーキ屋では、ピンクや黄色やチョコレート色に彩られて傘がちょこりとのった、クリームたっぷりのホールケーキが並べて売られ、その後ろで女性たちがマニキュア塗りに専念している。

この市場では朝食、昼食、夕食を提供する食堂エリアが分かれている。朝食用は既に片づけられており、2階の昼食エリアへと向かう。

開業8年目という、客引きに熱心だった女性の食堂に座り、ピカンテ・デ・ポヨをオーダーする。チキンやじゃがいも、トマトとパスタの上にたっぷりと赤とうがらしのソースがかかっている。ソースは、スパイスの味がぎゅっとつまっていて、ぴりりとするが、辛すぎない。

食事をしている間に昼食エリアもそろそろ片づけの時間となる。

1階の果物売り場でチリモヤとザクロを買い求め、夕食エリアをのぞきに行く。18時頃、昼食エリアよりも夕食エリアが賑わいをみせ、サルチパパスやハンバーガー、ロミートといった軽食をとりに人々が集まっている。やはり、ボリビアでは昼食がメインで、夕食はスナックなどの軽食が食べられているようだ。

わたしたちも夕食のために、チーズの入った揚げパン、エンパナーダ・デ・ケソと、揚げドーナツのバニュエロを袋につめてもらう。同時にそこで売られているとうもろこしのジュース、Tojoriと紫とうもろこしを甘く煮たジュース、Apiをグラスに入れていただく。どちらも甘く、あたたかい。

そこから、金箔の祭壇のあるサン・フランシスコ教会や、サント・ドミンゴ教会、サンタ・クララ教会、サンタ・テレサ修道院、サン・ラサロ教会と眺めながら町中を歩く。
条例通り、どの教会も壁が白く塗られ、なかなかに混乱する。

ハロー・キティが大きくショーウィンドウに貼られ、ソーシャル・VIP・キティ・クラブをプロモーションに使う店もあり、洗練された家具屋もある。実質上の首都はラ・パスだが、憲法上の首都はスクレというから、思っていたよりもずっとファッショナブルなのである。

サン・ラサロ教会に着くころには遠くの空がうっすらと色を変えていく。坂をあがり、高台にあるラ・レコレータ修道院に着くころには、日が暮れていた。

おぼろ月に照らされた修道院のある広場には、広場に面したキリスト教の学校から出てきた学生たちがおしゃべりを楽しんでいる。

パティオの一辺にある回廊から、ぽつりぽつりと橙色の灯がかなたまで瞬くスクレの夜景を眺める。

夕食は宿で先ほど市場で買ってきた、森のアイスクリームともいわれるチリモヤの果実と、ザクロの実、エンパナーダ・デ・ケソ、バニュエロに、温かなカモミールティーを淹れていただく。

チリモヤのごつい緑の殻を割ってみると、中はクリーム色でとろりとして甘く、ザクロの実は赤と黄色の殻を割ってみると、中は真っ赤な種が詰まっていて、食べるたびに汁が飛んでなかなかに手ごわい。    

夜中過ぎ、外では大きな雷音がなり、サイレンがなり始めた。