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スーツとカフェの洗練された大都会 - Santiago, Chile

朝の9時前にはサンティアゴのターミナルに到着する。最寄りのEstacion Central駅からメトロに乗って、旧市街方面へと向かう。朝の9時という時間からか、電車はぎゅうぎゅうと混み合っている。

連れ去られたカメラと同じ型のカメラを買いに大都市、サンティアゴの街へと繰り出す。アルマス広場にあるインフォメーションセンターにも情報を探し求めに行くと、そこではインターネットを使った検索もしてくれ、そのうえ、それをプリントアウトしてくれたり、電話機を借りることだってできるのだった。

サンティアゴはただ大きいだけの都市ではなく、きわめて洗練されている。スーツを爽やかに着こなす男性も多く、モダンなカフェ・スタンドでコーヒーをたしなんでいく。ボリビアまであちらこちらに見かけた山高帽に三つ編みのふっくらおばちゃんたちは、見かけていない。

Castanoという、明るく清潔で洒落たコンビニ風ストアで、Maxibonというアイスを買って、店内にあるカウンターに腰掛けて食べる。チョコクッキーサンドに、ナッツの入ったチョコバニラアイスをくっつけたもので、なかなかボリュームがある。

サンティアゴで電気屋の多い旧市街のPaseo Ahumada通りを歩き、falabellaストアで持っていたものと同じ型のカメラを購入する。価格は日本で購入する1.5倍ほどするが、北米市場向けの名称に変わっているほかは、全く同じものである。チリの物価はアルゼンチンに匹敵するものがあるが、電気製品は安価だといい、同じ宿に泊まるアルゼンチン人の男性は、チリにパソコンを買いに来たのだと言った。

ただ、日本で買ったカメラケースと同じものは、どうやらチリには売られていないのかもしれない。

昼食は、アルマス広場に面した食堂Ravera Pizzariaで、Pastel de Chocloをオーダーする。鶏肉にとうもろこしを潰したもの、オリーブ、にんにくやひき肉を炒めたものをのせて、とうもろこしの粉でつくった生地をかぶせて、オーブンで焼いたものである。それをパンとともにいただく。

アルマス広場では中央にチェスを楽しむ男性たちがいて、サンティアゴの基礎を築いたペドロ・デ・バルディビアの騎馬像やスペインから独立を果たした記念碑が置かれている。

広場に面したサンティアゴ大聖堂では、人々が告解を行い、黒服を着た男性が脚立にのって灯りの手入れをし、木像のサン・フランシスコ・ザビエルが置かれ、17世紀の銀のランプが吊るされている。1541年にスペインの遠征隊が入ってきた際に、町の中心にまず教会を建てることが計画されて、1558年にこの大聖堂が建てられたという。

聖具安置所には「最後の晩餐」があるといい、その場所を尋ねると、教会の男性がひそかに別棟にある部屋へと連れて行ってくれた。セレモニーの際に使われるという趣のある木製の聖具が置かれ、宗教画が何点か飾られ、その中に最後の晩餐もかけられていた。隣の部屋では、エプロンをつけた女性がコインをまとめて袋詰めしている。

それからもサンティアゴの町を、カメラケースを探し求めて、歩く。教会の前では地面に宗教画を描く男性がいて、道端には絵を描いたり、タロット占いや手相師などが軒をつらねている。ところどころに馬に乗った警察がいる。

大統領府として使用され、かつてアウグスト・ピノチェトによる軍事クーデターの舞台となったモネダ宮殿前の憲法広場には、スーツを着た男性が子どもをあやし、カップルが寝そべり、いかにも賢そうな犬が座っている。

この日はカメラ・ジャケットが見つからないまま、夜が更けていく。用事を済ませていたら、23時過ぎになってしまい、夜は店が早くに閉まる旧市街の街はひっそりと暗く静まり返っている。

夕食をとりに街を歩いていると、さすが中華料理、ここでもやはり夜遅くまでやっているのはたいてい中華料理屋なのであった。

大きな音楽をたてて、派手やかなイルミネーションを灯しながら、客を集めていた中華料理店「Casa China バー・パブ・レストラン」に入る。チーズとハムの入った春巻きに、クリスタルビールの1リットル瓶をオーダーする。ややくせのあるビールに、さくっとした春巻きがよく合う。

アルマス広場に面した宿に戻ると、大きくてまんまると太った黒い犬が、さきほどと変わらずに玄関で寝そべっている。6階にある宿までは、古びたエレベーターに乗って上がる。

常にエレベーターには男性のオペレーターがいて、階数のボタンを押し、乗客が降りるときには、鉄の扉とその向こうの木の扉をがしゃりがしゃりと開けるのであった。