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白い石灰の棚 – Pamukkale / Fethiye, Turkey

朝に目覚めると、なだらかな丘に畑の広がる景色が見える。笑顔の添乗員お兄さんたちが、ネスカフェコーヒーにパンケーキ、それにチョコレートの入ったクッキーといった朝食を運んでくれる。

9時半を過ぎたころにデニズリのバスターミナルに到着する。そこからミニバスに乗りついで、パムッカレの石灰棚と、紀元前2世紀ころの都市遺跡、ヒエラポリスに向かう。

北の門から、ヒエラポリスの墓地ネクロポリスに入る。1000以上の墓が並んでいて、崩れているものもあるものの、茶色い石が黒ずんだ中に装飾や文字が残る墓や、家の形をした墓もある。

先へ進むと、教会として使われていたこともあるというアーチをつなげた北大浴場やドミティアン門に北ビザンツ門と続いていく。細かな装飾がほどこされた石柱などがごろりところがっている。

世界遺産の一部だというのに、暑い炎天下の中、人気がほとんどない。大理石を使っていた部分が目立つように損傷少なくぽつりと残されていたりする。

空にはパラグライダーが舞い、花の香りがして、蜂の音がする。

1万5000人を収容したという円形劇場では、音響が素晴らしいと、人々が座りこんでぽんぽんと手をたたく。

セルジューク朝に滅ばされるローマ、ビザンツ時代まで街は栄えていたという。

アポロ神殿跡を通り過ぎると、賑やかなパムッカレ温泉に出る。ここはギリシャ・ローマ時代の遺跡の上で温泉につかれるところで、世界各地からやってきた旅行者たちが水着で温泉をプールのように楽しんでいる。セクシーなポーズで決めて写真を撮るカップルもいる。さきほどの過去に残された遺跡とうってかわって、リゾート地が突然に繰り広げられている。

そこから靴を脱いで、石灰棚に裸足で踏み歩く。石灰の成分を含んだお湯が結晶化して白く雪のような景色を生み出し、その中に淡く澄んだ湯をひたひたと浮かべた棚が並んでいる。白と淡く褐色になった部分がでこぼこを作りながら模様を生みだし、淡いピンク色の花が柔らかな色を添える。

人々はそこに水着を着て湯の中に入ってみたりする。湯に脚を浸してくるりとかき混ぜてみると、底にたまった石灰がぷくりと浮かんで広がり、水は白く濁る。

そんな雪のような中で、純白のウェディングドレスを着た新婦と黒の蝶ネクタイをしめた新郎が写真撮影に臨んでいる。

照りつける太陽に暑い町は、どこか日本の田舎のような風情がある。一軒のひなびた商店に立ち寄りSchweppesのビターレモンを飲みながら、ミニバスに乗ってデニズリのバスターミナルに向かう。そして定刻の16時半にGolhisar Cavdar社のバスは次の目的地フェティエに向けて出発した。

昨晩のバスに比べればやや小ぶりだが、ここにもにこやかお兄さん添乗員がいる。発車して2分も経てば、手を消毒するためのアルコールが配られ、その後に水のパックが配られる。

牛や羊の放牧された緑豊かな大地にいくつかのモスク、赤いとんがり屋根の家々を通り過ぎる。右手に太陽が沈んでいき、左手にうっすら月が浮かぶ。21時前には地中海に面したフェティエに到着した。

ちょうど泊まりたいと思っていた宿、Ideal Pensionの客引きがターミナルにいたので、そのままバンに乗りこんで、宿へと向かう。

夕食はやや高級感あふれるロカンタ、Sarayレストランに入る。白いんげん豆の煮込み、クル・ファスルエやぶどうの葉で具を巻いたヤプラック・ドルマス、それに松の実の入ったピラウにレンズ豆のスープ、メルジメッキ・チョルパスをオーダーすると、エキメッキやサラダ、ペッパーにレモンがついてきた。

ここでも、街のいたるところで放映されているユーロ決勝をテレビで流していて、街は盛り上がりをみせた。海は街のイルミネーションで輝いている。