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ぎらぎらのイスラムワールド – Shiraz, Iran

今日は朝ごはんを食べる前に、寺院マスジェデ・ナスィーロル・モルクに向かう。ここに朝一番に来たのは、ステンドグラスからの光が朝にとてもきれいだと聞いたから。開館時間の8時を30分ほど過ぎて到着しても、厚い木の扉は固く閉ざされていた。そばを自転車で通りかかったおじいちゃんを巻き沿いにして、なんとか扉を開けてもらう。

朝の光に照らされて、窓のステンドグラスからは赤や緑、青や黄色といった光が赤い絨毯にくっきりと色を加えている。壁面には、ピンクや青を基調として草花や緑に囲まれた家々の模様が描かれている。

他に人はおらず、しんとした静かで小さな寺院だ。

宿に一度戻り、今日も中庭の絨毯で朝食をいただく。トマトやきゅうり、パンにバター、紅茶にミルク、クリームチーズににんじんジャム、そしてはちみつ。

のんびりとしてから、シーラーズ最古の寺院マスジェデ・ジャーメを訪れ、メッカのカーバ神殿を模したという中庭の神の家を眺める。

それから隣にあるシーラーズの聖地、シャー・チェラーグ廟を昨日に続いて訪れる。シーラーズで殉教したエマーム・レザーの弟、セイイェド・アフマド・エブネ・ムーサ―の廟だ。

イスラム教徒にとっての礼拝の日にあたる金曜日を過ぎた聖地は、昨日よりはやや落ち着いてリラックスした雰囲気だ。入口は男女で分かれ、女性は全身を覆うチャドルを羽織らなければ中には入れない。

壁やドーム型の天井は鏡のモザイクがびっしりと光を反射し、いくつものきらきらと輝くシャンデリアが吊るされている。イスラム教徒の女性が人前で全身を使って祈りを捧げるのを見るのはほとんどなかったが、ここでは黒いチャドルを身につけた女性たちが、幾度もかがんで、床に置いた石に額をあてる。

廟は銀の格子で囲まれ、中にはお札が入れられている。格子に人々は身を寄せて、顔をぐっと近づけて、キスをしていく。

昨日ここで話しかけられた姉妹は、手をへナで装飾し、片手には数珠を持っていた。そして、口をぱくぱくと動かして、声にならない祈りを唱えていた。

コーランを読み更ける人もいれば、昼寝をしている人もいる。大勢集まる廟の付近では、ふわふわのはたきで人々が誘導されていく。

聖地を抜けて、バザールをそぞろ歩く。踊りのためのきらきらスカートや布、紐などは、いつもの真っ黒に身を包んだ女性の姿からはかけ離れている。靴職人は靴をつくり、店には綿あめパック、カラフルな層をつくるスパイス、水たばこ、カラフルな器、Play Station3のソフト、絨毯などが所狭しと並んでいる。

道ばたのアイスクリーム屋やジュース屋では、入口にかけられたぶ厚い布や半開きのシャッターの向こうで、人々がアイスクリームを食べ、ジュースを飲んでいる。

シーラーズらしいメナ―レの低いマスジェデ・ヴァキール、迎賓館やキャリーム・ハーンの廟としても利用されていた建物を使ったパールス博物館、キャリーム・ハーンの居城として使われていたキャリーム・ハーン城塞を抜けて、歩いていく。

道ばたで売られていた茄子のディップHalim bademjanや、寒天のようなTar Halvaをいただきながら、夕暮れのアリー・エブネ・ハムゼ聖廟にたどり着く。庭では男女が布で仕切られた絨毯に既に人々が座って、立てられた木の上にコーランを置き、それを読んでいる。日没が近づくにつれ、徐々にその人数は増えていき、男性がマイクで引導してコーランを唱える。

その周りをノースリーブに短パンの子どもたちが走り遊びまわっている。

この廟の中もまたぎんぎんぎらぎらとしていて、その中で鏡の中に埋め込まれた青い星がアクセントを加えている。廟には香水がふられ、訪ねた人々に香水が塗られる。女性はここでもチャドルを身につけなければ入れない。チャドルを持っていないので、入口で借りて入るも、着かたが分からないので、女性たちがてんやわんやと着付けを手伝ってくれる。

最後には、ステンドグラスも綺麗だから写真を撮ってと誘われ、チャドル姿をカメラで撮ってあげるから貸してみてと言われ、果てにはどうぞとキャンディーをいただく。

日没を迎えた聖廟には緑のライトがつき、人々は水を飲み始め、そして祈りが始まる。

帰り道に、行列のできていた店で、練乳のような味のアイスクリーム、それに春雨を短く切って硬くしたのをサイダーに入れたような、コーンスターチとシロップのfaludehを買い求めて食べ歩く。

夕食は宿でキョフテ・サブジをオーダーする。レーズンやナッツの入った肉団子にご飯と生たまねぎ、それにピーマンとライムがついてくる。

タクシーに乗ってバスターミナルへ向かい、大切な旅仲間と別れを告げて今日はこれからヤズドに向かう。

バスが発車すると、冷えたりんごバナナジュースが配られる。イラン料理は食べたあとに喉がかわくことが多いので、とてもありがたい。