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バイクではしるカッパドキア – Kapadokya, Turkey

カッパドキアの上空に早朝多くの気球が飛ぶ。そのたくさんの気球を眺めに、朝6時前に宿を出て、丘の上に登る。

洞窟の宿が並ぶギョレメの街から遠くは岩峰ウチヒサルやテーブル・マウンテンを眼下に、赤や黄色、青色といったカラフルな気球がたくさん空に上がり始める。

トルコビールのエフェスやメルセデス・ベンツの気球にまじって「もっと世界を楽しもう H.I.S.」「心に届く旅 Direct to your heart 阪急交通社」「行きたい旅、見つかる。トラピックス」「旅。あなたにふさわしく Crystal Heart」と書かれた日本の気球があちらこちらに飛んでいく。

気球は時折丘に近づき、ゴーっと火を放ちながら、上下に移動して、岩の合間を器用にくぐっていく。そのうちに西のほうへと多くの気球がすすんでいき、ぽつりぽつりと気球が着陸し、徐々にふんわりした気球を細くしぼめて、最後にはぺたりと倒れる。

犬はときどきそれを眺めながら、最後には犬同士でじゃれあい始める。

宿に戻って朝食をいただく。ゆで卵にきゅうりやトマト、チーズとハム、オリーブにパンとジャム、それにミルクコーヒー。

今日はバイクをレンタルして、カッパドキアを回ることにする。ちょうどアプリコットの実がなる時期のようで、町のアプリコットの木の枝を振って、実を集める人々がいる。

ギョレメの街から、岩窟教会の集まるギョレメ屋外博物館や、ギョレメ・パノラマ、一枚岩の城塞が中心となったウチヒサルに向かう。岩にあいたあちらこちらの穴に鳩が巣をつくり、空をはばたいていく。

バイクを飛ばして北へ向かい、途中で色鮮やかな画が残るCavusin教会に立ち寄りつつ、窯業の街、アヴァノスに到着する。

川の中州には陶器が乱雑に置かれ、その周りを鳥がちょこちょこと歩いている。トルコの陶器の多くはこのアヴァノスでつくられるという。赤土はクズル川、白土はアヴァノス山から採れるのだそう。

Akcanという作家の男性は、赤土をくるりと手でまるめて、ろくろの上に置き、右足でぽんと下の円を蹴りながらそのろくろを回し、金属のこてや紐糸を使ってあっという間に一つの壺を作り上げてみせた。

工房には、こまかな細工をほどこした白土の陶器から、ヒッタイト時代に円の部分を片手にかけて王様にワインや水を注いでいたという容器までところせましと売られている。数軒並ぶ工房の中にはかつての地下都市を改装したものもあって、中は広くいくつもの部屋が中でつながっている。

昼食は、Bizim Evレストランでいただくことにする。アヴァノスの町でつくられた陶器に入れられたテスティ・ケバブをオーダーする。火の上に置かれた陶器の中にビーフが入れられた壺焼きケバブに、もっちりとしたパンやきちんと型どられたライスがついてきて、ひき肉などを包んだパイを揚げたものをボレキです、どうぞといって差し出された。

このレストランもおじいさまの代の地下都市を活用したワインセラーなどが備わり、適度の湿気のあるひんやりとした空間になっている。

再びバイクにまたがり、パシャパーに向かう。きのこのような岩がにょきにょきとあちらこちらに生えていて、あるきのこの中には教会さえ作られている。そばには柔らかい土が風に削られ、波のようにゆたっている。鳩やら鳥やらがぼーぼーと鳴き、蜂が飼われている。

ゼルヴェ屋外博物館、らくだの形をした岩を眺め、ユルギュップに到着する。ワイナリーもあり、ギョレメに比べると、どこか大人の洗練された静かな町だ。

さらに三姉妹の岩や岩峰オルタヒサルへとバイクを飛ばし、夕焼けを眺めにローズバレーへと向かう。太陽は橙色に姿を変え、大きくまんまるの赤い円になって山の向こうへと沈んでいく。岩は徐々にその色を落としていく。

帰りは道に迷いながらも21時過ぎにバイクを返却し、近くのサライ・ハルクのロカンタで夕食をいただくことにする。 カッパドキアの一部の店辺りから、ようやくトルコの田舎が垣間見え始める。   

ややスパイシーな瓜の肉詰め、パトゥルジャン・ドルマスにマイルドなヨーグルトをかけていただく。それに、ピラフと花嫁のスープという名のエゾゲリン・チョルバスというスープにパン。絞ったレモンがよく合う。夜に案外と冷え込むカッパドキアで身体が温まる。

今夜はこれからサフランボルという町への経由地点、アンカラへ向かう。街の中心からいつもの通りにターミナルまでシャトルバスが出ている。犬が格闘しあっている。

ターミナルまでのわずかな距離の中で、手を消毒する消毒液が配られ、そして水パックが配られる。消毒液が配られるときはいつだってドボドボとボトルをひっくり返すものだから、服まで消毒されてしまうのである。