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遺跡とエーゲ海とキャバレー – Aydin / Selcuk / Efes / Kusadasi / Selcuk, Turkey

カシュからエフェスへ向かう経由地Aydinには、夜中の3時半ころに着いてしまった。薄暗いバスターミナルには、遠くにマクドナルドのMの灯りが見え、あとは幾人かのおじさんと、若い兄弟がいるばかりだ。うとうとと眠る間に、Aydinから最終目的地エフェス遺跡に近いセルチュクまでの始発バスが走る7時が近づいた。

バスを待つ間に、カフェから出てきたおじさんがチャイをどうぞと、チューリップの形をしたチャイグラスを角砂糖をのせた小皿に置いて、差し出してくれた。

7時にAydinを出たミニバスは1時間ほどでセルチュクに到着する。そこからミニバスに乗り換える。パンにバターをつけてほおばったりしながら10分もすればエフェス遺跡に到着する。

エフェス遺跡は古代ギリシャ人の町で、かつては港湾都市だったところだ。イスタンブールからほど近いこともあってか、遺跡は観光客でいっぱいだった。団体旅行客もひっきりなしだ。

宗教会議が行われたという聖母マリア教会には柱がすくっと立ち、そのてっぺんの柱頭にはくっきりとした装飾が残されている。

2万4000人を収容でき、剣士と猛獣の闘いが行われていたという大劇場には日本人団体客がいて、その音響を試すためにふるさとが歌われた。トルコのギリシア・ローマ遺跡でふるさとが響く。そこからまっすぐに、街灯も灯されていたというアルカディアン通りが伸びている。

1万2000巻の書籍が所蔵されていたというケルスス図書館には、美徳、学問、運命、知恵を意味する4体の女性像が正面に佇み、あちらこちらに置かれた石のかけらには、壺や草、十字架や動物の形、そして文字などがくっきりと彫られて残っている。

図書館を過ぎると、上流階級の住宅区、床にモザイク画の残る娼館、古代公衆トイレにハドリアヌス神殿、スコラスティカの浴場、トラヤヌスの泉と、かつてそこに生活していた人々を想わせる遺跡が続いていく。

ヘラクレスの門には左右対になった彫刻が彫られ、女神ニケのレリーフもくっきりとその羽を伸ばしている。メミウスの碑、ドミティアヌス神殿、商取引に使われていた広場や市公会堂、音楽堂と、階段を上がっていく。

エフェス遺跡を出て、エーゲ海岸のリゾート地クシャダスへのバスが出ている大通りまで、農道をてくてくと歩いていく。暑い中幹線道路で待っていたバスに乗り込めば、30分もすると遺跡からエーゲ海沿岸の街へと到着する。

まずはショッピングモールに入った食堂、Coffee’s Cafeで昼食をいただくことにする。茄子をトマトと煮込んだムサカとバター風味のサーデ・ピラウに、挽き割り小麦のブルグル・ピラウ、甘すぎないヨーグルトに、パン、最後にはチャイが出てくる。ご夫婦らしき二人が仲良く切り盛りしている小さな店だ。

リゾート地らしく、クシャダスの町にはトルコ料理店やカフェ、マクドナルドにバーガーキング、それに土産物店が並ぶ。町の中心にある港からバスに乗り、10分ほどいったところにあるレディース・ビーチという名のビーチに向かう。

エーゲ海に面したレディース・ビーチという名のこのビーチは、かつて女性だけが入ったビーチだったらしい。今はもうその面影もなく、家族連れもカップルも友だち同士も、子どももお年寄りも、みなが照りつける日差しの中、海を楽しんでいる。海の水はひやりと冷たくて、気持ちが良い。

近くの商店でチョコレートアイスを買い求める。暑い国でアイスクリームがあるとなると、思わず手が伸びてしまう。

再びバスに乗って、要塞の建っているギュウェルジン島と町が陸路でつながっているのや、港に停泊している大型船を見ながら、町へと戻ってくる。港にはボーっと大きく汽笛がなる。ここからはギリシャに行く船も出ている。

そんな国際的で洗練されたエーゲ海リゾート地も、旧市街の路地に入れば、厚化粧を施したセクシー女性による、レトロなキャバレーのポスターやむきむき男性によるバーのポスターなどがあちらこちらに貼り出されている。

クシャダスからバスに乗って40分、セルチュクへと戻ってくる。電柱の上には、何匹ものシュバシコウが巣を作っている。道ばたには子猫があふれ、人々は寝そべったり、のんびりと座り込んだりしている。なにしろ、昼間は暑いのだ。

キリスト12使徒の一人ヨハネが晩年を過ごしたという聖ヨハネ教会まで歩き、遠くにセルチュク城を眺める。

セルチュクで有名な小さな肉の串刺し、チョプ・シシを食べに、トルガ・チョップ・シシという専門店に入る。牛肉の串焼きにレタスやトマト、たまねぎが同じ皿に盛られ、それにバケットが添えられている。どれもシンプルに炭火で焼かれていて、香ばしい。小皿にはこんもりとチリが入れられていて、それをわずかにかじりながら、いただく。最後にはアップルティーが運ばれてくる。

バスターミナルへ戻り、21時45分発のパムッカレ社夜行バスに乗り込む。パムッカレ社のバスに乗るのは3回目。車両の新旧やモニターの良しあしはあるものの、食事は同じで、チョコレートとバニラのアイスクリームにレモンのビスケット、それにチョコレートのパンケーキ、チョコレートクッキーに飲み物だ。