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イランのテヘランでトルクメニスタンビザの申請をする – Tehran, Iran

金曜日、土曜日と閉まっていたトルクメニスタン大使館が今日ようやく開くので、ビザの申請しに行く。宿から最寄りのエマーム・ホメイニ駅はテヘラン街の中心にあり、メトロはラッシュアワーの真っただ中だった。乗り場も車内も仕切りがしてあり、いくにんかの女性は男性スペースに入り、パートナーの横でちょこりとしているが、男性が女性スペースに入ろうものなら、担当係から注意が入る。  

そんな具合なのに、プラットフォームの女性専用スペースのところに、電車の男性専用スペースへの入口が停車したりするものだから、混乱が増す。みな、ぎゃーぎゃーと騒ぎながら、電車に乗り込む。電車が郊外に進むにつれ、徐々に人が降りていき、カラフルな色の服を着た男性と、多くが黒や地味な色の服を着て頭にヒジャブをかぶった女性が、透明のしきりにきちりと分けられて座っている風景に変わっていく。時折、鼻の整形をした人々が鼻に白いテープを巻いて歩いているのを見かける。

パン屋で餡のはさまったパンを買い求めて、それを隠しながらかじって歩くことおよそ30分。大使館は金土曜日休みで日曜日は9時半から11時の開館。そんなわけで、今日の大使館のビザセクションは、休み明けの殺到が待っていた。建物の一角に設けられたビザセクションの窓口は限りなく小さく、そして到着したときにはその窓はかたく閉じられていた。

テヘランで宿泊している宿の周りには車の部品店ばかりが並び、食堂や商店などがとても少ない。そんな中でコピー屋を見つけることもできずに、トルクメニスタンのビザ申請に必要な書類のコピーができていなかった。

すると、イラン人の男性が一人、それならコピー屋を探しに車を出しますよ、という。その男性はカウンチサーフィンを使ってオランダ人カップルに寝床を提供している。

男性の車に乗り込み、コピー屋を探しに行く。その男性は運転をしながら、ラマダンは神と近づくから良い月です、でもラマダンの時期に断食をするかどうかは個々に決めればよいことなんですよと言った。ドイツやスイスを旅行したことがあり、来年には韓国や日本にも旅行を予定している。医者というと政府は信じてくれるので、ビザの申請も比較的楽なのだそう。

こうして無事にコピーを終えて、人々の殺到する小さな窓口の向こうにいる大使館職員に、ビザ申請のためのパスポートコピーとウズベキスタンビザのコピーを差し出し入れて、申請用紙も何も求められずに書いていないので、やや不安になりながらもとりあえず申請を終える。

近くの商店でサウジアラビア製レモン味のノンアルコールビールをぐびぐびとしていると、同じようにトルクメニスタンへのビザ申請を終えたイラン人の男性が店に入ってきた。これから米国に留学をする男性で、イランには米国大使館がないので、トルクメニスタンの米国大使館に行く必要があるといい、そのためのビザを申請したのだと言った。実際に渡航するときは、ドバイ経由で向かう。

メトロに乗って宿の近くまで戻り、パンをほおばり、ジューススタンドで隠れてメロンミルクシェークを飲む。日没までジュースを作らないジュース屋や、日没までアイスクリームをつくらないスイーツ屋がほとんどだが、時折蛍光黄色の暖簾の向こうで軽食を作っていたり、道から顔をそむけてちびちびとジュースを飲む人がいるものだ。

その後もバスのチケットを予約したり、両替をしたりとテヘランの街をあちらこちら歩いたり走ったりする。黒のヒジャブに黒のマーントーがどうにも暑い。こんな恰好で走る女性をこの街で見かけることはない。

日の長い夏の日の出から日没までを飲食なしでやり過ごすというのだから、身体を壊しても仕方のない気がするが、多くのイラン人はラマダンが身体に良いことだと信じている。科学的にも証明されているんです、と言う。そして、ラマダンはつらいけれど、神に近づける良い月だと肯定的に考える人も少なくない。

こうしてラマダン中に外出をしていると、とれる食事は売店で買い求められるお菓子かジュースといったところになる。何しろ外では隠れながら食べなければならないので、さくっと食べられるものに限るのだ。

そしてへろへろと宿に帰ってくる。すると、同じ宿に宿泊している韓国人親子が近くの魚屋で買ってきた海老や辛ラーメンの素などを使ってラーメンとスープを作っていて、勧められたので、いただく。宿の中でもロビーなどで食事をするのは咎められるが、部屋の中や人目につかないテラスでは許される。明るいうちにきちんとした食事がとれるというのは、うれしい。

今日はこれからバスに乗って、カスピ海近くの町、ラシュトまで向かう。ホメイニ師やアリ・ハメネイ師の肖像画のかかる地下鉄駅を抜け、Azadi駅からBRTバスに乗り換えてバスターミナルへ向かう。

黒いヒジャブをかぶって、黒いコートを着て大きな鞄をしょっているものだから、むきむきお兄さんが荷物を担ぎましょうかと声をかけてくれた。オーストラリアのメルボルンに6年前に移り住み、オーストラリアパスポートを取得したという。イランのパスポートは使い勝手もわるいし、捨ててしまったよ、と言う。

多くの女性はヒジャブを脱ぎ捨てたいと思っている。男性も髪を派手にたてたり、短パンをかぶったり、短い丈のTシャツはだめ。恋をうたうことや書くことは禁止されている。その男性はそう言った。

薄い月が浮かんでいて、アーザーディー・タワーが赤や水色、黄色と色を変えていく。

日の入りを迎えるころ、バスターミナルの職員たちは、一斉に食べものを片手に仕事をする。もぐもぐとして、飲み物をごくごくとし、時にはもう仕事は終わりにして奥のテーブルで男性職員のお茶会が開かれている。

テヘランではラマダン中21時からたいだいの食堂が開くので、移動が続くと食事を逃してしまう。買っておいたビスケットやパンをもぐもぐと食べるだけだ。

テヘランの都会の風景は途切れることなく続いていく。